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のびのび!姿勢磨きステッカー

のびのび!姿勢磨きステッカー

ABSTRACT

スマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスの普及に伴い、子供たちのスクリーンタイムが増加するとともに、利用者の低年齢化が進んでいる。デジタルデバイスの利用に起因する座位時間の増加と姿勢の悪化は将来の病気や障がいにつながり、幼少期の姿勢の意識化は心身の正しい成長を促す。そこで、子供が興味を持つようなヒゲやリボンを模した「姿勢磨きステッカー」と家庭の鏡を用い、普段の生活環境において毎日姿勢を意識づけるしかけを考案した。ステッカーは子供の身長に合わせ、洗面台などの鏡に貼り付ける。子供は鏡にうつる自分の顔をステッカーに合わせようとすることで、自然に視線を上げ、身体を伸ばそうとする。保護者は子供が良い姿勢をとれていることを褒めるなど、積極的に姿勢に関するポジティブなコミュニケーションが生まれるしかけとなっている。

AUTHORS

渡邊麻友 Mayu Watanabe 東京デザインプレックス研究所学生、グラフィック/DTP専攻
今西愛美 Ami Imanishi 理学療法士、ピラティスインストラクター、予防運動アドバイザー
山本英一郎 Eiichiro Yamamoto 臨床医
横内則之 Noriyuki Yokouchi 非鉄金属メーカー勤務、研究職

INTRODUCTION

スマートフォンやタブレットなどのデジタルデバイスの普及に伴い、子供たちのスクリーンタイムが増加する1とともに、利用者の低年齢化が進んでいる。日常生活だけでなく、教育現場へのデジタルデバイスの導入も今後さらに増加することは避けられない。一方で、デジタルデバイスの利用に起因する座位時間の増加と姿勢の悪化は将来の病気や障がいにつながる2, 3, 4。人の骨格は成長期に決まるとされ5、幼少期の姿勢の意識化は心身のより良い成長を促すと考えられる。今回我々は、歯を磨くように、毎日姿勢を磨くことを意識づけるしかけを考案した。

METHODS

子供が興味を持つようなヒゲやリボンを模した「姿勢磨きステッカー」と家庭の鏡を用いる。ステッカーは歯磨き粉のノベルティとして提供され、歯磨きとともに毎日姿勢を意識づけるしかけになっている。

台紙の裏には、姿勢磨きステッカーの使い方に加え、姿勢のチェック方法や正しい姿勢を維持するための机や椅子の高さなどに関する豆知識を提供する。

ステッカーは子供の身長に合わせ、洗面台などの鏡に貼り付ける。子供は鏡にうつる自分の顔をステッカーに合わせようとすることで、自然に視線を上げ、身体を伸ばそうとする。保護者は子供が良い姿勢をとれていることを褒めるなど、姿勢に関するポジティブなコミュニケーションが生まれるしかけとなっている。

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DISCUSSION

我々が実施したアンケート結果から、悪い姿勢が将来の病気や障がいにつながることを知らない人も少なくないこと、一方で多くの保護者が子供の姿勢について問題意識は持っているものの、主な対処方法は姿勢が悪い時に注意をすることだけにとどまるケースがほとんどであることがわかった。

そこで、姿勢に対する意識を持たない小学校低学年の子供と、子供の姿勢に問題意識を持っているが注意することしかできない保護者を対象に、注意する・されるというネガティブな体験ではなく、親子でポジティブに姿勢を意識する環境が必要と考えた。

普段から親子で姿勢に関する意識を共有できるようになったあかつきには、子供の姿勢が悪そうだと感じたときに学習机や食卓の高さに合わせて椅子の高さを調節したり、姿勢を正す椅子やクッションを利用する、または日々の生活の中で親子で軽い運動を実施するなど、良い姿勢に対するアクションを取れるようになるしかけが必要になる。

今回の施策では親子で正しい姿勢を意識することに焦点を当てたが、例えば背伸びをすれば届きそうなところに子供が手を伸ばしたくなるステッカーを貼り付けるなど、姿勢を良くする動作につながるしかけも合わせて提供できれば、より大きな効果が期待できる。

REFERENCES

  1. 令和3年度 青少年のインターネット利用環境実態調査(内閣府)
  2. WHO身体活動・座位行動ガイドライン(日本語版)
  3. 平成20年 技術革新と労働に関する実態調査(厚生労働省)
  4. 令和3年度 全国体力・運動能力、 運動習慣等調査の結果(概要)について(スポーツ省)
  5. 山下敏彦. (2013). こどものスポーツ障害診療ハンドブック. 中外医学社
  6. 中村隆一. (2003). 基礎運動学 第6版. 医歯薬出版