運動嫌いな大人に楽しい運動を提供するにはどうすればいいのか?
運動といえばランニングや筋トレといった高負荷の運動を想像してしまうと継続するハードルが高い。
一方、運動にはレベル感があり背伸び程度でも継続することで様々なメリットがある。
しかし、運動嫌いな大人にとっては家で取り組むのは面倒で、外で行うのは周囲の目が気になって恥ずかしい。そこで我々は、これらの課題を解決し、簡単な動きの運動を日常で楽しく実施できる方法を提案する。
人目を気にせず運動できる場として、入浴中は良い場面である。入浴剤「のびゆ」のパッケージには湯船に浸かりながらできる簡単なストレッチがテーマごとに記載されている。パッケージから入浴剤を出した後に、パッケージを浴槽横の壁に貼り付け、そのイラストを見ながらストレッチをすることができる。
このプロダクトを通じて自身の身体の変化に気づき、関心を持ち、最終的には身体の不調は自らの力で解決するといったセルフメディケーション能力を多くの人に高めて欲しい。
井上 航 Wataru Inoue 理学療法士、ピラティス・ヨガインストラクター
松本和也 Kazuya Matsumoto 医療機器メーカー 研究者
竹林直人 Naoto Takebayashi デザイナー
宗安香代子 Kayoko Muneyau 流通・小売業勤務
運動習慣のある人は男性で33.4%、女性は25.1%である1。
運動といえばランニングといったハードなものを想像してしまうため、抵抗感が生じるだけでなくコストや時間の制約も生じてしまう。一方、運動には様々なレベル感があっていいはずである。
例えば、低負荷・短時間のストレッチであっても、身体的や心理的に効果的であることが報告されている2, 3。ストレッチなら簡単というイメージを持つ人も多いのではないだろうか。
そこで生活の中で自然にストレッチ動作を促し、運動習慣を始める第一歩となる機会を提供したい。
また、このプロダクトでは、従来の入浴剤のイメージであるリラックスにストレッチという少しでもアクティブなイメージを追加している。
日本人なら1日に1回入る浴槽をストレッチ習慣の場として考えた。
入浴中に手軽にできるストレッチを入浴剤にパッケージ。温浴による血行促進効果も相まって運動の効果もより高まり、リフレッシュ感も得ることにより継続も期待されやすい4, 5。
各パッケージには浴槽に浸かりながらできる数種類の簡単なストレッチがテーマ別(肩、首、背骨、股関節、膝関節、足関節など)に記載されている。例えばデスクワークを多くやり肩こりを感じている日は肩周りのストレッチを選択するなど、その日の調子に合わせて実践したいパッケージをピックアップできる。パッケージから入浴剤を出した後に、そのイラストを見ながらストレッチをすることができる。
入浴剤を入れた後にパッケージを壁に貼り、お風呂時間中に簡単なストレッチへと誘導する。
また、さらに関連するストレッチやトレーニングが知りたい場合はQRコードから専用サイトに飛ぶことも可能である。
入浴剤は接骨院や整体院などで人に身体をほぐしてもらいたいと考えがちな方に配布することも想定している。せっかく勧められたなら一度試して見ようというきっかけを作る。最終的には他力で身体をケアするのではなく、自分の身体は自分でケアできる喜びを知ってもらいたい。
このプロダクトを通じて自身の身体に関心を持ち、入浴以外の場面でもちょっと身体をリカバリーしたい時に運動するという選択肢を手に入れることができる。
毎日の入浴習慣の中で、身体に対して意識を向ける機会を作る。その時に自身の身体が今どうなっているかに気づくことは健康な心身を作るための第一歩である。
最終的には自分の身体の不調は自らの力で解決するといったセルフメディケーション能力を高めることで、健康増進効果が期待できる。
プロダクトはノベルティとしてまずは自施設のスタジオで配布予定だが、ゆくゆくは病院等の医療機関や温浴施設等での導入も提案していきたい。