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WithコロナにおけるNew Normalな対面イベント日程調整は、Withコロナ検定で

WithコロナにおけるNew Normalな対面イベント日程調整は、Withコロナ検定で

新型コロナウイルス感染症により日本でも緊急事態宣言が発令され、緊急時以外に人と会うことや、対面のイベントを開催することが困難になった。しかし、緊急事態宣言および外出自粛要請の解除後は徐々に人々が集まり、食事会や対面イベントが開催されることも増えてきた。新型コロナウイルスの脅威が依然存在する中で他者と交流することにより、感染症対策に関する意識や危機感の差に起因する軋轢も生じている。このような状況を踏まえ、人々がWithコロナでの交流に当たって生じるストレスを軽減させる必要性を感じた。そこで、日程調整を行うと同時に新型コロナウイルス感染症対策について学ぶことができるWEBアプリを作成する。このWEBアプリは、対面イベントを行うためには必須の日程調整という機会を利用して、対面イベント参加者がWEB上で感染症対策に関する知識の確認や習得ができる「コロナ検定」の受験に誘導する。コロナ検定は、「友人と会う前に」「旅行に行く前に」など実際の場面に沿って最適化して出題することにより、受験者が最低限の労力で十分な実践的な知識を養うことができるように設計する。対面イベント参加前にコロナ検定を受け、その結果を共有することで、お互いに相手がどれほど新型コロナウイルス感染症に対して危機感を持っているのかについて、本人に直接尋ねることなく、把握することができる。その結果、実際に友人と会った際に、意識や危機感の差から生じるストレスを和らげることが期待される。さらには、正しい知識を身につけることで新型コロナウイルス感染症に対する過剰な不安を取り除き、医療従事者や感染者およびその家族に対する差別や排他的意識を取り除くことにもつながると考えられる。

AUTHOR

油木理緒奈 Riona Aburaki 横浜市立大学医学部医学科1年生

INTRODUCTION

新型コロナウイルス感染症により日本でも緊急事態宣言が発令され、緊急時以外に人と会うことや、対面のイベントを開催することが困難になりました。しかし、緊急事態宣言および外出自粛要請の解除後は徐々に人々が集まり、食事会や対面イベントが開催されることも増えてきました。

新型コロナウイルスの脅威が依然存在する中で他者と交流することにより、新たなストレスも生まれつつあります。その中には新型コロナウイルスに対する危機感や知識量の違いに起因する友人の間でのコミュニケーション齟齬の発生も挙げられます。このような状況を踏まえ、人々がWithコロナでの交流の際に生じるストレスに対する解決策を考える重要性を感じました。

そこで、日程調整時に対面イベント参加者が感染症対策に関する知識の確認や習得ができるコロナ検定の受験に誘導するWEBアプリを企画しました。コロナ検定受験を通じて友人の知識量や危機感を把握することで、コロナ禍という特殊な状況下での他者との交流をできるだけストレスなく行うことができるようになると考えられます。

METHODS

新型コロナウイルスに対する危機感の差から生じるストレスやコミュニケーション齟齬を解消するために、日程調整のついでに新型コロナウイルスに関する問題を解けるWEBアプリを作成します。

友人や知り合いと集まることになったら、まずこのWEBアプリにアクセスし、イベントを作成します。イベント名を入力し、候補日程を選択して決定ボタンを押すと、イベントURLが作成されます。そのURLを共有することにより、他の参加者は図2のような回答画面にアクセスすることが出来ます。回答画面では、日程を回答するとともに、コロナ検定受験開始画面にも飛ぶことができます。

コロナ検定を「今すぐ受験する」ボタンを押すと、図3のように検定が始まります。検定問題は「友人と会う前」「部活に行く前」など日常生活の場面に沿った出題をすることで、より実践的な知識の定着を図っています。「友人と会う前に」編の問題例は、図4の通りです。検定という形を取りますが、問題を選択形式で出題することで、気軽に受験することができます。

検定結果は図5のように点数として表示されます。また、図6のように答え合わせの詳しい結果も確認することができます。この答え合わせ画面では設問の正しい解答に加え、設問に関連する追加の情報や解答のポイントを記載することでより深い知識の習得を図っています。点数が低い場合や、もう少し理解を深めたい場合には、同じ問題を再受験することも可能です。

さらに、検定結果はイベント参加者のグループ内で共有することができ、他の参加者の点数は図8のようなお知らせが届くことで確認することができます。

fig1

DISCUSSION

友人や知り合い同士で、新型コロナウイルスに関する知識をどれほど持っているかや新型コロナウイルスに対してどれほど危機感を持っているかについてざっくばらんに議論することはなかなか難しいと思います。そんな中、日程調整の際にコロナ検定という形で皆が同じ問題を解くことで他者の意識や危機感・知識量を知ることができると考えています。例えば、大学生が部活後の打ち上げを企画しているとしましょう。部活の後輩は、先輩が感染対策を講じている店を選んでいるのか、日頃から食事前にきちんと手洗いをしているのかなどについて不安に思うかもしれません。また、もし先輩が手洗いなどの感染対策を講じていない場合、角が立つことを恐れ先輩に対して注意するのは躊躇してしまう場合も多いでしょう。コロナ検定を皆が受験し、その結果を見ることで先輩がどの程度の危機感を持って感染対策を講じているか確認することができます。自分と同程度の意識で感染対策を講じているならば安心して打ち上げに参加することができるでしょう。仮に先輩が基本的な予防法を徹底できていなかった場合には、そのことを踏まえて打ち上げの参加の有無や参加方法を決定することができると思います。また、先輩が検定を複数回受験することで知識や予防法を習得し、角を立たせることなく他者に正しい予防法を伝えることも可能になります。

このように、コロナ検定の受験を通してコロナ禍で生じうる新たなストレスを軽減させることができると考えられます。加えて、新型コロナウイルスに関する知識や感染対策のあり方について議論するきっかけとなることも期待されます。

REFERENCE

厚生労働省「新型コロナウイルス感染予防のために」

厚生労働省「新型コロナウイルス感染症に関する調査について」