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小児の入院中の食事体験に楽しみを増やす食器カバーとカトラリー

小児の入院中の食事体験に楽しみを増やす食器カバーとカトラリー

ABSTRACT

入院中の食事は、活動が制限される入院生活における楽しみであり、治療の一環にもなる重要な行為である。しかし小児にとって、入院中の食事は家庭での食事と比べて「好きなものを自由に食べられない」「家族と食べることができない」などの制限が多く、楽しく満足のできる食事体験とは言えない。そこで、小児の入院中の食事に手軽に取り入れることができるテーブルウェアのセットを用いて、食事体験の楽しみを増やすことを目指す。

テーブルウェアのセットは食器カバーとランチョンマット、カトラリーのパッケージである。食器カバーを用いることで、小児が着せ替え遊びをするように、食器のデザインを変えてテーブルセッティングを楽しむことができる。食器カバーは病院で提供された食器に巻くように装着する。また、ランチョンマットの使用により、凹凸のある配膳トレー上ではできなかった「食べやすさを優先した自由な配置」が実現できる。カトラリーはメタモカラー(温度によって発色する機能のインク)を活用した持つことによる仕掛けがあるものを提案する。カトラリーの手に触れる部分と食べ物に触れる部分のイラストが、温度によって変化する仕組みで、視覚的な楽しさが「カトラリーを手に取る」「食べ物をすくう」「口に入れる」それぞれの動作のきっかけになることが期待できる。

以上のプロダクトで入院中の食事の楽しさを増やすことにより、孤食の寂しさがやわらぎ、積極的な食事行動につながることが期待できる。展開としては、入院中のギフトや病院外の小児の食事への応用が考えられるほか、小児以外にも、入院中のメニューに合わせて和・洋・中にカスタマイズできるような大人向けのバリエーションも考えられる。また、試用の段階で、機能性とともに病院の配膳のオペレーションを調査し、病院食の制約を考慮することで、入院生活に取り入れやすいプロダクトにする必要がある。

AUTHORS

遠藤玲見 Endo, Remi TDP グラフィックDTPコース卒業。東京慈恵会医科大学附属病院・保育園で看護師として勤務。
藤森晶子 Fujimori, Masako TDPグラフィックDTPコース卒業。遊具メーカー勤務。
小松彩子 Komatsu, Ayako 横浜市立大学医学部5年。
福田伊万里 Fukuda, Imari TDP グラフィックDTPコース卒業。お茶の水女子大学4年。
⻑谷川太一 Hasegawa, Taichi Webディレクター。プロトタイピングが好き。

REFERENCE

兼平千晴, 三木ひかり, 太田真由美, 藤井早織, 下田みどり, 服部佳世子, 松尾恵美, 山口未久, 園田悦代 (2017).小児がん治療中の子どもの食生活に対する看護介入のための基礎的研究. 京都府立医科大学附属病院看護部看護研究論文集2017.pp.13-18.
https://search.jamas.or.jp/link/ui/2019228709